分家住宅の「譲渡理由書」「申請理由書」の書き方|通りやすい文例と注意点

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「使わなくなった分家住宅を第三者に売りたい(または貸したい)」と思ったとき、避けて通れないのが都市計画法に基づく用途変更許可(属人性の解除)の手続きです。

この手続きにおいて、大津市(開発調整課)の審査を左右する最も重要な書類が、売る側が書く「譲渡理由書」と、買う側(新しく住む人)が書く「申請理由書」です。今回は、大津市の提案基準25を踏まえ、通りやすい理由書の書き方と文例を解説します。

目次

結論:理由書は「やむを得ない事情」を客観的に説明する書類

この記事の結論

市街化調整区域における用途変更は原則禁止です。「どうしても手放さざるを得ない事情(売る側)」「どうしてもその家を必要とする事情(買う側)」の双方が揃って初めて、例外的に許可されます。理由書は、この2つの事情を役所の担当者に納得してもらうための書類です。

単に「住まなくなったから売りたい」「気に入ったから買いたい」という自主的な理由では認められません。大津市の開発審査会基準である提案基準25に合致する、客観的な事情を説明する必要があります。

売主が書く「譲渡理由書」の書き方と文例

「譲渡理由書」は、現在の所有者(譲渡人)が作成します。大津市の基準で認められる主な該当理由は次のとおりです。

主な該当理由(大津市提案基準25より)

遠隔地への転職・転勤/疾病、高齢などによる療養・転地の必要性/破産、競売、負債整理/所有者の死亡・失踪

通りやすい「譲渡理由書」の文例(転勤・通勤困難のケース)

文例

理 由 書

令和〇年〇月〇日

大津市長 殿

譲渡人(氏名) 〇〇 〇〇 印

【譲渡の理由】

私は、平成〇年〇月に本件建物(大津市〇〇町〇番地)を分家住宅として新築し、これまで家族と共に適法に居住してまいりました。

しかしながら、令和〇年〇月に勤務先より「〇〇支店(他府県等)」への転勤を命じられました。当初は単身赴任での勤務を検討いたしましたが、幼児の育児や今後の家族の生活設計を考慮した結果、家族全員で任地へ移住せざるを得なくなりました。

本件建物は大津市内の市街化調整区域内に位置しており、任地までの通勤は片道3時間を超え、物理的・肉体的に通勤を継続することは不可能です。また、実家の後継者は既に別の場所に居を構えており、将来的に本件建物に居住する予定もありません。

このまま空き家として放置することは、防犯上および建物の維持管理上も好ましくなく、やむを得ず本件建物を第三者へ譲渡(売却)することを決意いたしました。

以上の通り、社会通念上、居住を継続することが困難となった真にやむを得ない事情をご理解いただき、用途変更の許可を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

買主が書く「申請理由書」の書き方と文例

「申請理由書」は、新しく購入して住む人(譲受人・申請者)が作成します。「自然が豊かで気に入ったから」という理由だけでは許可されません。現在の住宅困窮の状況と、なぜ他の場所ではなくこの分家住宅でなければならないのかを説明することがポイントです。

主な該当理由(大津市提案基準25より)

現在の住まいが社宅や借家であり手狭(狭小過密)である/結婚により世帯分離することが確実である/退職や転勤により現在の住まいを立ち退かなければならない/疾病等の理由により転地療養が必要である

通りやすい「申請理由書」の文例(借家が手狭になり購入するケース)

文例

申請理由書

令和〇年〇月〇日

大津市長 殿

申請者(氏名) 〇〇 〇〇 印

【住宅を必要としている状況および申請地決定の理由】

私ども家族(夫婦および子ども2人)は、現在、大津市内の賃貸アパート(〇DK・専有面積〇㎡)に居住しております。子どもたちが成長するにつれて部屋が非常に手狭となり、プライバシーの確保や子育て環境として著しく狭小過密な状況(住宅困窮状態)にあります。

そのため、自己の居住用住宅の取得を計画し、市街化区域内において代替地を模索してまいりましたが、近年の地価高騰や私どもの資金計画(予算)の制約から、市街化区域内で家族が健康に暮らせる規模の土地・建物を取得することは極めて困難でありました。

そのような折、本件建物(分家住宅)が売りに出されていることを知りました。本件建物は一戸建てとして私どもの予算内に収まるだけでなく、現在の子どもの通学区域(または勤務先への通勤圏内)であり、生活環境を変えることなく住宅困窮を解決できる唯一の物件であります。

取得後は、私ども家族自らが居住するための「一戸建専用住宅」として適正に利用することをお約束いたします。

以上の通り、私ども家族が真に住宅を必要としている状況をご賢察いただき、何卒用途変更の許可を賜りますようお願い申し上げます。

「この理由書の内容で役所は受け付けてくれるか」と不安な方は、お気軽にご相談ください。

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理由書を作成・提出する際の3つの注意点

① 添付する客観的証明書類と100%一致させること

理由書に書いた内容は、役所に提出する証明書類と完全に一致していなければなりません。転勤が理由なら勤務先発行の辞令の写し、狭小過密が理由なら賃貸借契約書と間取り図、結婚が理由なら住民票や婚姻届受理証明書などです。もし「狭くて住めない」と書きながら間取り図が4LDKなど十分に広い場合、住宅困窮と認められず一発で不許可になります。

② 「10年以上適正に利用された建物」であること

大津市の提案基準25では、原則として適法に建築された後10年以上適正に利用(居住)されてきた建物であることが条件です。売主側の理由書に「転勤になった」と書く場合、その建物に売主自身が10年以上しっかり住んでいた実績(住民票の履歴など)が必要です。ただし、譲渡人が死亡・破産した等の急を要するケースでは、10年未満でも例外的に認められます。

③ 道路・排水などのインフラ基準の確認も並行して行う

理由書のストーリーが完璧であっても、敷地に接する道路の幅員が足りなかったり、雨水や汚水の排水先(水路)が確保されていなかったりすると、技術基準を満たせず不許可になります。大津市では本申請の前に「事前協議」というインフラ各課とのすり合わせが必要になるため、理由書作りと並行して現地調査を行うことが不可欠です。

まとめ:まずは大津市役所への事前相談から

この記事のポイント

  • 理由書は「やむを得ない事情」を客観的に説明するための最重要書類
  • 売主・買主それぞれに大津市提案基準25で認められた該当理由がある
  • 理由書の内容は添付する証明書類と完全に一致させる必要がある
  • 10年以上の適正利用実績や道路・排水などの技術基準の確認も並行して必要

分家住宅の用途変更許可(第42条ただし書き許可・第43条許可)は、都市計画法の手続きの中でも非常に審査が厳しく、書類に不備や矛盾があればすぐに差し戻されてしまいます。「自分の分家住宅は売れる状態にあるのか」「この理由書の内容で役所は受け付けてくれるか」と不安な方は、まずは大津市役所・本館の開発調整課へ事前相談に行くか、市街化調整区域の手続き実績が豊富な行政書士へご相談ください。

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