開発許可とは?必要になるケース・不要なケースを行政書士がわかりやすく解説

大津市は、琵琶湖や比叡山に囲まれた自然豊かなエリアである一方、京阪神へのアクセスの良さから住宅需要も高い地域です。しかし大津市内で「家を建てたい」「土地を造成したい」と考えたとき、多くの方が直面するのが「開発許可」という都市計画法上の手続きです。
大津市は市街化調整区域の占める割合が大きく、さらに独自の「大津市開発事業の手続及び基準に関する条例」が定められているため、他の自治体と同じ感覚で造成・建築を進めることはできません。
本記事では、大津市都市計画部開発調整課が公表している基準・条例に基づき、大津市における開発許可の仕組みを行政書士が解説します。
目次
1. 開発許可とは?大津市における「開発行為」の考え方
都市計画法上、開発許可が必要になるのは「開発行為」を行う場合です。開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設を目的として、土地の区画・形・質を変更することをいいます。
具体的には、次の3つのいずれかに該当する行為が「区画形質の変更」とされます。
- 区画の変更:道路を新設するなどして、土地を複数の敷地に分割すること
- 形の変更:切土・盛土によって傾斜地を造成し、土地の形状を変えること
- 質の変更:農地や山林、雑種地などの宅地以外の土地を、建築物の敷地として使える「宅地」に変えること
切土・盛土の判断基準は自治体ごとに異なります
「どの程度の切土・盛土から許可が必要になるか」の具体的な高さ・面積の基準は、自治体の運用基準によって異なります。大津市での個別の造成計画については、必ず大津市都市計画部開発調整課へ事前にご確認ください。
2. 大津市の区域区分と、開発許可が必要な面積基準
開発許可が必要かどうかは、土地がある「区域」と、開発する「面積」によって決まります。大津市内における基準は以下のとおりです。
| 区域区分 | 許可が必要な面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡以上の開発行為 |
| 市街化調整区域 | 面積にかかわらず、原則すべての開発行為 |
市街化区域では1,000㎡未満であれば開発許可そのものは不要ですが、後述する大津市独自の条例による手続きが必要になる場合があります。市街化調整区域では、わずかな面積の造成であっても、建物を建てる目的であれば原則として開発許可(または建築許可)が必要です。
市街化区域担当:077-528-2773/市街化調整区域担当:077-528-2876
3. 大津市独自のルール:開発条例による3つの規制
大津市には、都市計画法に上乗せする形で「大津市開発事業の手続及び基準に関する条例」(平成24年条例第6号)という独自のルールが定められています。特に重要な3点を解説します。
① 事前協議の義務化(条例第4条)
大津市内で開発行為を行う事業者は、工事着手前に市長へ事前協議書を提出し、都市計画課や下水道整備課など複数の担当課と協議を重ねる必要があります。開発区域の面積が1ヘクタール(10,000㎡)以上になる場合は、事前協議書の提出前に、土地利用計画等について市長と協議しなければならないと定められています。
② 周辺住民への説明会の実施義務(条例第8条)
事業者は、開発事業の計画内容・工事の概要・環境への配慮等について、あらかじめ周辺住民等に対して説明会を開催するなどの周知措置を講じ、その結果を市長に報告しなければなりません。
③ 敷地面積の最低限度(条例第7条)
市街化調整区域における無秩序なミニ開発を防ぐため、建築物の敷地面積には最低限度が定められています。大津市開発審査会が定める「提案基準1」「提案基準4」に基づく自己用住宅の場合、敷地面積は150㎡以上であることが要件とされています(詳細は5章)。
4. 大津市で開発許可が「不要」になるケース
土地の区画形質の変更を伴う場合でも、以下のようなケースでは開発許可の適用が除外されます。
農林漁業用施設・農家住宅
市街化調整区域等において、農業・林業・漁業を営むための施設(畜舎、温室など)や、これらの業務を営む方の自己用住宅を建てる場合は、都市計画法第29条第1項第2号により開発許可が不要とされています。
学校・病院・社会福祉施設は「原則許可が必要」に変わっています
誤解しやすいポイント
かつては駅舎や公民館などと同様に「公益上必要な建築物」として学校・病院・社会福祉施設も開発許可が不要でしたが、平成18年の都市計画法改正(施行日は平成19年11月30日)により、これらは適用除外の対象から外れました。大津市においても、社会福祉施設(提案基準28)、医療施設(提案基準29)、学校施設(提案基準30)は、それぞれ個別の提案基準に基づく審査が必要です。
5. 自己用住宅の建築要件(提案基準1・4の数値基準)
市街化調整区域で「自分や親族が住むための住宅」を建てる場合、大津市開発審査会の提案基準に基づく許可のルートがあります。代表的な2つの基準を紹介します。
提案基準1:世帯の分化の過程で必要とする住宅(いわゆる分家住宅)
申請地周辺に10年以上継続して居住している世帯の子など(3親等以内の親族)が、婚姻や転勤などにより新たに自己の住宅を必要とする場合に該当します。申請地は、居住している者の実家等から直線距離で1km以内であることが要件です。
提案基準4:既存集落における自己用住宅
申請日の10年以上前から、既存集落内に土地を所有している方が、自己用住宅を建築する場合に該当します。立地要件として、おおむね50m以内の間隔で50以上の建築物が連たんしている集落と一体的な日常生活圏を構成している地域であることが求められます(いわゆる「50連たん」要件)。
両基準に共通する敷地・建築物の規模要件は以下のとおりです。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 敷地面積 | 150㎡以上 |
| 建築物の高さ | 10m以下 |
| 建ぺい率 | 60%以内(大津市建築基準法等施行細則第14条が適用される場合は70%) |
| 容積率 | 100%以内 |
| 延べ面積 | 200㎡を上限(家族構成上、狭小過密となる場合を除く) |
| 路地状敷地 | 路地状部分がある場合、奥行20m以内 |
申請には10年以上の居住・所有実績が必要です
提案基準1・4はいずれも「申請日の10年以上前から」という期間要件があり、住民票や登記事項証明書等での立証が必要です。ご自身の土地・居住歴がどちらの基準に該当するかは、早い段階での確認をおすすめします。
6. 大津市での開発許可申請の流れ
- 事前調査・相談:大津市開発調整課で、区域区分(市街化区域/市街化調整区域)や規制内容を確認
- 事前協議書の提出:条例第4条に基づき、必要図書を添えて市長に提出(1ha以上の開発は提出前に土地利用計画等の協議が必要)
- 関係課との協議・周辺住民説明会:条例第8条に基づく説明会を実施し、結果を市長に報告
- 開発審査会への付議(該当する場合):都市計画法第34条第14号に該当する開発行為は、提案基準に基づき大津市開発審査会の議を経て許可
- 許可・工事着手
- 工事完了・検査・公告
大津市の開発許可は、条例による事前協議・住民説明会・提案基準への適合など、確認すべき項目が全国的に見ても多い手続きです。特に農地を宅地化する場合は、開発許可と並行して農地転用許可(農地法4条・5条)の手続きも必要になります。
まとめ
大津市で建築や土地活用を検討する際は、まず土地が「市街化区域」か「市街化調整区域」かを確認したうえで、大津市独自の開発条例(事前協議・住民説明会・敷地面積の最低限度)にどう適合するかを早い段階で見極めることが重要です。市街化調整区域で自己用住宅を建てる場合は、提案基準1・4の要件(10年以上の居住・所有実績、150㎡以上の敷地面積、50連たん要件など)を満たしているかの確認が最初のステップになります。

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