【大津市】開発許可の「事前協議」とは?流れと必要書類を行政書士が解説

市街化調整区域や一定規模以上の土地で家を建てたり、造成(開発行為)を行ったりする場合、都市計画法に基づく「開発許可」が必要になります。しかし大津市では、開発許可の本申請の前に、必ず通らなければならないステップがあります。それが「事前協議」です。

「開発許可を申請したいけれど、何から手を付ければいいのかわからない」「大津市の事前協議って、具体的に何をするの?」——このような疑問をお持ちの方に向けて、「大津市開発事業の手続及び基準に関する条例」(第4条・第8条)に基づく事前協議の流れや必要書類を、条例・施行規則の条文に沿って解説します。

目次

1. なぜ大津市ではいきなり開発許可を申請できないのか

都市計画法第29条に基づく開発許可を申請する際、大津市ではいきなり申請書を提出することはできません。大津市には「大津市開発事業の手続及び基準に関する条例」(平成24年条例第6号)が定められており、その第4条において、開発事業を行う事業者は、あらかじめ計画について市長と協議しなければならない(事前協議の義務)と定められているためです。

この事前協議の手続きを経ずに開発許可の申請を行うことはできません。開発許可を適法に進めるための、最初の必須プロセスと位置づけられています。

2. 事前協議(条例第4条)の全体の流れ

大津市の事前協議は、施行規則の条文に沿うと、大きく分けて次のステップで進みます。

01

事前協議書の提出(施行規則第2条第1項)

計画している開発区域の位置、土地利用計画、道路や排水計画などの図面を添えて、大津市役所(都市計画部開発調整課)に「事前協議書(様式第1号)」を提出します。

1ヘクタール以上の開発は、提出前にもう1段階

開発区域の面積が1ヘクタール(10,000㎡)以上である開発事業を行おうとする事業者は、事前協議書の提出前に、土地利用計画等について市長と協議しなければならないと施行規則第2条第2項に定められています。

02

事前協議事項通知書の交付(施行規則第2条第3項)

大津市役所が事前協議書を受理すると、内容が審査され、「事前協議事項通知書(様式第2号)」が事業者(または代理人である行政書士)に交付されます。ここに、道路・排水・農林・景観など関係部署ごとに協議すべき事項がまとめられています。

03

関係各課・関係機関との個別協議

通知書に記載された担当部署(道路、排水、上下水道、農林、景観、消防など)の窓口へ個別に出向き、図面を突き合わせながら技術調整を行います。それぞれの窓口で協議が成立すると、協議了の確認書が交付されます。この個別協議は、関係部署の数が多いほど時間がかかる実務上の山場です。

04

協議完了の報告

通知書に記載されたすべての部署・機関との個別協議が完了したら、その結果を取りまとめて市長へ報告します。この完了報告をもって事前協議が成立し、都市計画法第29条に基づく開発許可の本申請へ進むことができます。

3. 事前協議に必要な提出書類

事前協議書には、計画の全体像を示すための図面や公的書類を添付する必要があります。主な提出書類は以下のとおりです。

必須となる公的書類・説明書等

  • 位置図(方位、縮尺、開発事業区域を明示したもの)
  • 法第34条説明資料(市街化調整区域における立地要件への適合を示す資料)
  • 設計説明書(目的、基本方針、地域地区、土地の現況、土地利用計画等をまとめた書面)
  • 新旧公共施設一覧表(設置される道路、水路等の新旧対照表)
  • 公図の写し
  • 区域内権利者一覧表(予定地内の地権者全員の氏名、地目、権利、同意の有無等)
  • 隣接土地所有者一覧表
  • 現況写真

必須となる設計図面等

  • 現況平面図(等高線、有効道路幅員、既存排水構造物、地番や官民境界確定状況等)
  • 土地利用計画図(開発区域の境界、道路、予定建築物の位置、施設区分等)
  • 造成計画平面図(切土・盛土、法面保護工、擁壁の構造物位置等)
  • 造成計画断面図(切盛土の高さ、構造物寸法、放流先の勾配等)
  • 水理計算書(区域内の雨水排水にかかる流量計算)

必要書類は計画内容によって変動します

添付すべき図書は、開発区域の面積・区域区分・予定建築物の用途によって細かく異なります。上記はあくまで代表的な例であり、実際の必要書類は大津市開発調整課への事前相談で個別に確認する必要があります。

4. 実務上つまずきやすいポイント

近隣住民への事前周知(条例第8条)は終わっているか

大津市では、開発条例第8条に基づき、開発事業の計画内容を周辺住民等へあらかじめ説明し、その結果を「事前周知結果報告書(様式第5号)」として市長に報告する義務が課されています(施行規則第5条)。周知対象は、以下のように敷地境界からの距離だけで決まるものではありません。

  • 開発事業区域の敷地境界線から水平距離20メートル以内の土地・建築物の所有者、管理者、居住者等
  • 開発事業区域およびその周辺地域の自治会等の範囲に存する建物の所有者・居住者等(自己居住用住宅の場合を除く)
  • 工事車両の運行経路のうち、開発区域から幅員6.5メートル以上の道路に至るまでの道路に面する建物の所有者・自治会代表者(自己居住用住宅の場合を除く)
  • 自治連合会等の代表者、および市長が必要と認めた者

また、開発事業区域の面積が0.3ヘクタール以上、または計画戸数が15戸以上である場合は、開発事業区域内の見やすい場所に計画の概要を記載した標識(様式第4号)を設置する義務もあります(施行規則第5条第2項)。この事前周知の手続きが未完了であると、本申請に進むことはできません。早い段階からの地元説明が不可欠です。

雨水の放流先(水路・河川)の管理者と合意できているか

造成に伴い、敷地内の雨水の流れは変化します。放流先となる水路が法定外公共物(いわゆる青線)や個人・土地改良区の管理である場合、その管理者や利害関係者と接続・放流についての協議を了し、同意を得ておく必要があります。これが事前協議の終盤で難航し、全体の工程が止まるケースが少なくありません。

他法令(農地転用等)との並行スケジュール

開発予定地が農地(田、畑)である場合、農業委員会での農地転用許可(農地法第4条・第5条等)が別途必要になります。実務上は、農地転用と開発許可の事前協議・申請を並行して進めるケースが多く見られますが、これは案件ごとの個別調整によるものであり、必ずしも一律の運用ではありません。農業振興地域の農用地区域(いわゆる青地)からの除外が絡む場合は、区域指定の見直し時期に左右されるため、通常より長い準備期間を見込んでおく必要があります。個別のスケジュール感については、農業委員会・大津市開発調整課の双方に早めに確認することをおすすめします。

大津市における市街化調整区域での開発・新築プロジェクトは、この「事前協議」をどれだけ計画的に進められるかが、その後の工程全体に大きく影響します。窓口での協議、排水・造成設計、地元説明など、専門的な知識と実務経験が求められる手続きです。

事前協議について相談する

大津市 都市計画部 開発調整課
市街化区域担当:077-528-2773/市街化調整区域担当:077-528-2876

まとめ

大津市の開発許可手続きは、条例第4条に基づく「事前協議書の提出」から始まり、事前協議事項通知書に基づく関係各課との個別協議、条例第8条に基づく周辺住民への事前周知、そして協議完了の報告を経て、ようやく開発許可の本申請に進むことができます。1ヘクタール以上の開発では事前協議書提出前にもう1段階の市長協議が必要になるなど、規模に応じた追加のステップも存在します。書類の準備や関係各課との調整には専門知識が求められるため、「事前協議から本申請までの流れを確認したい」という方は、早めに専門家へご相談ください。

本記事について

本記事は執筆時点(2026年8月)の大津市開発事業の手続及び基準に関する条例・同施行規則に基づき作成しています。基準は改定される場合があるため、具体的な個別案件については、必ず事前に大津市都市計画部開発調整課への確認、または専門家への相談を行ってください。

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