一般建設業許可と特定建設業許可の違いとは?どちらが必要か判断基準を行政書士が解説

「建設業許可を取りたいけれど、『一般』と『特定』のどちらを取ればいいの?」「うちは請負金額が大きいから、特定建設業許可が必要?」
建設業許可を取得する際、多くの方が最初につまずくのがこの「一般」と「特定」の区分です。この違いは「会社の規模」や「売上高」で決まるわけではありません。
本記事では、一般建設業と特定建設業の違いや、自社にどちらが必要かの判断基準、そして特定建設業の厳しい取得ハードルについて、行政書士がわかりやすく解説します。
この記事の結論
一般と特定の違いを決めるのは「会社の規模」でも「売上高」でもありません。発注者から直接請け負う元請として、下請業者に出す代金の合計が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上になるかどうかという1点のみです。下請として受注する場合は金額にかかわらず一般で問題ありません。
この記事の内容
一般建設業許可と特定建設業許可の決定的な違い
建設業許可は、29ある業種ごとに「一般建設業」か「特定建設業」のどちらかの許可を受ける必要があります。その判断基準となるのが、「発注者から直接工事を請け負った(元請)場合」に「下請業者に出す代金の合計額」です。
特定建設業許可が必要なケース
- 建築一式工事の場合:下請代金の総額が8,000万円以上になる工事を元請として受注する
- 建築一式工事以外の場合:下請代金の総額が5,000万円以上になる工事を元請として受注する
【令和7年2月1日 法改正】金額基準が引き上げられました
法改正により、従来は建築一式工事7,000万円・それ以外4,500万円だった基準が、建築一式工事8,000万円・それ以外5,000万円に引き上げられました。すでに特定建設業許可を持っている方も、この改正内容は把握しておきましょう。
逆に言えば、下請けに出す代金の合計が5,000万円(建築一式は8,000万円)未満であれば、どんなに大規模な工事を元請として受注しても「一般建設業許可」で問題ありません。
間違えやすい!判断のポイントと3つの勘違い
「うちは1億円の工事を受注するから特定が必要だ!」と勘違いされる方が多いです。以下の3点を必ず押さえておいてください。
勘違い① 「下請けとして受注した工事」には制限がない
特定建設業の制限は、あくまで「発注者から直接請け負った元請け」に対するルールです。あなたが一次下請けとして大規模な工事を受注し、それを二次・三次下請けへ数億円規模で発注したとしても、特定建設業許可は不要です。一般建設業許可のままで問題ありません。
勘違い② 元請から支給される「材料費」は含まない
下請代金の額には、元請負人が提供する材料等の価格は含まれません。純粋な下請契約の金額(手間賃など)のみで計算します。
勘違い③ 1件の工事の「下請代金の総額」で判断する
1件の工事を複数の下請業者に分割して発注した場合、1社ごとの金額ではなく全ての下請契約の合計額で判断します。
計算例
元請として受注した工事を「A社に3,000万円」「B社に3,000万円」で下請けに出した場合、合計は6,000万円となるため、特定建設業許可が必要になります。1社あたり5,000万円未満であっても、合計で超えれば特定が必要です。
特定建設業許可の取得ハードルはなぜ高いのか
「念のため特定建設業許可を取っておこう」と考える方もいらっしゃいますが、特定建設業許可は一般建設業許可に比べて要件が格段に厳しく設定されています。
その理由は、特定建設業が「下請事業者の保護」や「建設工事の適正な施工の確保」という重要な目的を持っているからです。大規模な工事を請け負って下請けに多額の発注をした元請企業が万が一倒産すると、多くの下請業者が連鎖的に共倒れするリスクがあります。国はそのリスクを未然に防ぐため、特定建設業者に対して非常に高いハードルを設けています。
一般・特定の要件を比較する
特定建設業許可では、主に次の2つの要件が一般建設業よりも厳しくなります。
| 要件 | 一般建設業許可 | 特定建設業許可 |
|---|---|---|
| 財産的基礎 | 自己資本500万円以上 または500万円以上の残高証明 |
下記4つをすべてクリア ①資本金2,000万円以上 ②自己資本4,000万円以上 ③欠損額が資本金の20%以下 ④流動比率75%以上 |
| 営業所技術者 (専任技術者) |
10年の実務経験 または二級の国家資格 等 |
一級の国家資格が原則必要 (一級建築士、一級施工管理技士など) |
| 経営業務 管理責任者 |
要件は同じ | |
| 誠実性・ 欠格要件 |
要件は同じ | |
特に財産的基礎の要件は、一般建設業とは比べ物にならないほど厳しく、中小規模の会社が「念のため特定を取ろう」と考えても、まず要件を満たせません。まずは自社のビジネスモデルが本当に特定を必要としているかを冷静に確認することが大切です。
よくある質問
一般建設業許可と特定建設業許可を同じ業種で両方持てますか?
いいえ、同一の業種について一般と特定を同時に持つことはできません。ただし、「建築一式工事は特定、内装仕上工事は一般」のように、業種が異なれば分けて取得することは可能です。事業の拡大に合わせて業種ごとに最適な区分を選びましょう。
一般建設業許可から特定建設業許可へ切り替えるには?
「般・特新規」という申請区分で新規申請を行います。一般の許可を持ちながら同時に特定を申請する形になり、既存の一般許可はその後廃業届を出す流れが一般的です。特定の財産的基礎要件を直前決算でクリアしていることが前提になるため、切り替えのタイミングは決算内容を見ながら慎重に判断する必要があります。
特定建設業許可のデメリットはありますか?
取得要件が厳しいだけでなく、取得後も下請代金の支払い期限や施工体制台帳の整備など、一般建設業よりも厳しい義務が課されます。毎年の決算変更届でも財産的基礎の要件を満たし続けているかが問われるため、資金繰りの管理が重要になります。
まとめ:自社のビジネスモデルに合わせて選択を
この記事のポイント
- 一般と特定の違いは「売上高」「会社規模」ではなく、元請として下請業者に出す代金の合計額で決まる
- 下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)になる場合に特定建設業許可が必要
- 下請として受注する場合は金額にかかわらず一般建設業許可で問題ない
- 分割発注しても合計額で判断されるため、1社ずつで基準未満でも注意が必要
- 特定建設業許可は財産的基礎・専任技術者の要件が格段に厳しく、「念のため」で取れるものではない
一般建設業と特定建設業のどちらが必要かは、「自社が元請けとして大規模な工事を下請けに任せるビジネスモデルかどうか」で決まります。
「自社がどちらの要件を満たしているかわからない」「一般から特定への切り替え(般・特新規)のタイミングで悩んでいる」という方は、ぜひ一度、建設業許可を専門とする行政書士にご相談ください。今後の事業展開を見据えた最適な取得ルートをアドバイスいたします。

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