農地法3条・4条・5条の違いを完全比較|どの許可が必要かケース別にわかる【2026年版】

農地法3条・4条・5条の違いを図解で完全比較|どの許可が必要かケース別にわかる【2026年版】
監修 滋賀県 行政書士 田村仁志 (登録番号:第26250869号)

「農地を買いたい」「自分の畑に家を建てたい」と思って調べると、必ず出てくる「農地法3条」「4条」「5条」という言葉。
「数字ばかりでどれが自分に当てはまるのかわからない…」と混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、この3つの条文の違いは「農地のまま使うか、別の用途(転用)にするか」そして「権利の移動(売買や貸し借り)を伴うか」という点にあります。
この記事では、農地法3条・4条・5条の違いをわかりやすく比較し、ご自身のケースでどの許可が必要になるのかを行政書士が解説します。

そもそもなぜ農地は自由に売買・転用できないの?

「自分の土地なのに、なぜ自由に売ったり家を建てたりできないのか?」と疑問に思う方も多いはずです。

農地法第1条には、農地は「現在及び将来における国民のための限られた資源であり、地域における貴重な資源である」と定められています。農地を効率的に利用する耕作者を保護し、優良な農地がむやみに減っていくことを防ぐことで、国民への食料の安定供給を確保することが最大の目的です。

この食料安全保障の観点から、農地の売買や転用には厳しい許可制度が設けられています。そのルールを定めているのが、農地法3条・4条・5条です。

3条・4条・5条の違いをひと目でわかる比較表

まず全体像を掴みましょう。「何をしたいのか」に当てはめて確認してみてください。

条文 何をする? 許可先 典型的なケース
農地法3条 農地のまま権利移動
(売買・貸借等)
農業委員会 農地を買って農業をする・借りる
農地法4条 自分の農地を転用
(別の用途にする)
都道府県知事等 自分の畑に自分の家を建てる
農地法5条 転用目的で権利移動
(売買・貸借等)
都道府県知事等 他人の農地を買って駐車場にする

※「都道府県知事等」とは?

都道府県知事、または農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の長を指します。

「自分はどの条文?」ケース別フローチャート

「結局、自分の場合はどれ?」と迷ったときは、以下の2ステップで確認できます。

▶ どの条文が当てはまるか確認しましょう
STEP 1
農地を「農地として(農業をするために)」使いますか?
YES
農地法3条 農地のまま売買・貸借する
→ 農業委員会に許可申請
NO(転用する)
STEP 2
転用する農地は「自分がいま所有している農地」ですか?
YES
農地法4条 自分の農地を自分で転用
→ 都道府県知事等に許可申請
NO
農地法5条 他人の農地を取得して転用
→ 都道府県知事等に許可申請

各条文の詳細解説

フローチャートで条文が特定できたら、それぞれの許可要件を確認しましょう。

農地法3条 農地のまま権利を移動する場合

農地を農地として売買したり、貸し借りしたりする場合のルールです。許可先は農業委員会です。

主な許可要件(3つ)

  • 全部効率利用要件 取得後、自分が持っているすべての農地を効率的に利用して耕作すること。一部を放置する計画は不可。
  • 農作業常時従事要件 権利を取得する本人または世帯員が、農作業に常時従事すること(年間150日以上が目安)。
  • 地域との調和要件 周辺の農地の効率的かつ総合的な利用に支障を生じさせるおそれがないこと。
💡 許可が不要なケース(届出で済む場合)
相続(遺産分割)によって農地を取得した場合などは、許可は不要です。ただし、この場合でも農業委員会への「届出」を遅滞なく行う必要があります。
農地法4条 自分の農地を転用する場合

自分が所有している農地を、家や駐車場など別の用途に変更する場合のルールです。許可先は都道府県知事等です。

主な審査基準(2段階)

  • 立地基準(農地のランクで判断) 「農用地区域内農地(青地)」や「第1種農地」は原則不許可。「第2種農地」「第3種農地」であれば許可の可能性があります。
  • 一般基準(計画の確実性で判断) 転用を確実に行うための資力・信用があること。周辺農地や農作物への悪影響を防ぐ措置が講じられていること。
💡 許可が不要なケース(届出で済む場合)
転用する農地が市街化区域内にある場合は、あらかじめ農業委員会に届け出るだけでよく、都道府県知事等の許可は不要です。
農地法5条 転用目的で農地の権利を移動する場合

他人の農地を買ったり借りたりして、家や駐車場などにする場合のルールです。売主(貸主)と買主(借主)が連名で都道府県知事等に申請します。

主な審査基準

  • 4条と同じ「立地基準」と「一般基準」 農地のランク(立地基準)と転用計画の確実性・資金力・周辺への影響(一般基準)の両方を満たす必要があります。
💡 許可が不要なケース(届出で済む場合)
4条と同様に、対象となる農地が市街化区域内にある場合は、農業委員会への届出のみで許可手続きは不要です。

行政書士からのひとこと

💡 市街化区域にあるかどうかで、手続きの難易度が劇的に変わります

4条・5条の場合、対象の農地が市街化区域内にあれば、厳しい審査を伴う「許可」ではなく農業委員会への「届出」のみで転用できます。まず最初に農地の所在エリアを確認することが重要です。

また、実務でよくあるのが、「親の農地に子どもが家を建てるケース」で4条と5条を混同するパターンです。

「自分の家族の農地だから4条でいいのでは?」と思いがちですが、親名義の農地を子ども名義に変更(または子どもが借りる)して転用する場合は、「他人の農地の転用」扱いとなり、5条の対象になります。

誰の農地を、誰が、何のために使うかによって根拠となる条文が変わります。申請書類の作成には正確な判断が必要です。

まとめ

📋 この記事のポイント
  • 農地は食料安全保障の観点から、売買・転用には農地法に基づく許可が必要
  • 3条:農地を農地のまま売買・貸借する → 農業委員会へ
  • 4条:自分の農地を自分で別の用途にする → 都道府県知事等へ
  • 5条:他人の農地を取得して別の用途にする → 都道府県知事等へ
  • 市街化区域内の農地なら、4条・5条は「届出」のみで手続き可能
  • 「親の農地に子どもが家を建てる」は4条ではなく5条の対象になることが多い
  • どの条文に当てはまるか迷ったら、早めに行政書士か農業委員会へ相談を

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