【大津市】農地に家を建てたい!農地転用と開発許可を同時に進める手順を行政書士が解説

大津市の市街化調整区域にある畑や田んぼを相続したり、譲り受けたりして「ここにマイホームを建てて暮らしたい」と計画される方は少なくありません。しかし農地は法律上厳重に保護されているため、農地に家を建てるには、農地法に基づく「農地転用許可」と、都市計画法に基づく「開発許可(または建築許可)」という2つの許認可手続きを乗り越える必要があります。
この2つの手続きは、多くの行政庁において同時並行で進めることが実務上の原則とされています。本記事では、大津市で農地を宅地に変えてマイホームを建築するプロセスについて、なぜ同時進行が原則なのかという背景から、具体的な手順、必要書類まで解説します。
1. なぜ「農地転用」と「開発許可」は同時並行が原則なのか
農地転用と開発許可は、根拠となる法律(農地法/都市計画法)も、審査を行う窓口(農業委員会/都市計画部門)も異なります。しかし実務上は、足並みを揃えて進めることが原則とされています。
農林水産省が定める「農地法関係事務処理要領」には、農地転用の許可権者が、当該事案が都市計画法上の開発許可を要するものである場合には、開発許可の権限を有する部署とあらかじめ連絡・調整を行うべきこと、また両者の許可はその調整を経たうえで揃えて行うことが望ましい旨の考え方が示されています。
なぜ足並みを揃える必要があるのか
仮に「農地転用だけ許可されたが、開発許可が下りずに家が建てられない」、あるいは「開発許可は下りたが農地が転用できず着工できない」といった不整合が生じると、依頼者にとって重大な不利益や、違法な状態の発生につながりかねません。これを未然に防ぐため、両者を同時に進める運用が広く行われています。
大津市においても、農地転用と開発許可を並行して進めるケースが実務上多く見られます。具体的にどの段階でどのような書類のやり取りが必要になるかは案件ごとに異なるため、大津市農業委員会・都市計画部開発調整課の双方への事前確認をおすすめします。
2. 農地転用・開発許可を進める5つのステップ
事前調査(法規制の網羅的な確認)
まず、新築を予定している土地がどのような法律・規制に該当するかを調査します。
- 農業振興地域内の「農用地区域(青地)」に該当する場合は、農地転用や開発許可の前提として「農振除外」の手続きが必要です。除外可能な「白地農地」であるかを確認します。農振除外は、区域指定の見直し時期に左右されるため、半年〜1年程度の準備期間を見込んでおくケースが多く見られます
- 大津市で市街化調整区域に住宅を建てる場合、世帯の分化を証明する「提案基準1(分家住宅)」や、長期の土地保有履歴等を活かす「提案基準4(既存集落における自己用住宅)」など、適用できる許可ルートを確定させます。提案基準4では、おおむね50m以内の間隔で50以上の建築物が連たんしていることが立地要件の一つとなります
大津市開発条例に基づく「事前協議」と「事前周知」
開発許可(または建築許可)の本申請の前段階として、大津市独自の開発条例に基づく手続きが必要です。
- 条例第4条に基づく「事前協議」:事前協議書に位置図や設計図書等を添付して窓口へ提出し、関係各課(道路、排水、上下水道、消防等)からの指導内容をまとめた「事前協議事項通知書」の交付を受けます
- 条例第8条に基づく「周辺住民等への事前周知」:敷地境界線から水平距離20m以内の土地・建物の所有者や居住者、周辺の自治会等に対し説明を行い、結果を「事前周知結果報告書」として市長へ提出します
地元水利関係者・土地改良区との事前調整
造成工事や雨水排水プランの策定にあたり、地元の水利組合や土地改良区、隣接農地所有者との合意形成が、農地転用の審査を進めるうえで重要になります。
- 周辺の農地の営農条件に支障が生じないよう、被害防除に関する説明資料の提出が求められる場合があります。対象範囲や必要な資料の形式は農業委員会ごとに定められているため、事前の確認が必要です
- 申請地が土地改良事業の施行地区内(ほ場整備区域等)にある場合、土地改良区から意見書を取得して添付することが一般的に求められます
開発許可(都市計画法第29条)&農地法第5条許可の「同時本申請」
事前協議の完了、事前周知の完了、排水同意、土地改良区の意見書等の準備が整った段階で、本申請に進みます。
- 大津市都市計画部:都市計画法に基づく「開発許可申請(または建築許可申請)」を提出
- 大津市農業委員会:農地法第5条に基づく「農地転用許可申請」を提出
- 両部署の審査担当者間で審査状況の共有が図られ、同じタイミングでの許可を目指して進行するのが一般的な運用です
造成工事の着手・完了検査と「60条適合証明」の取得
許可が下りると、現地での造成工事(農地から宅地への形質変更)が可能になります。
- 造成工事が完了したら、大津市へ工事完了届を提出し、検査を受けて検査済証の交付を受けます
- 建築確認申請の際には、「都市計画法施行規則第60条に基づく証明書(いわゆる60条証明)」の添付が必要です。検査済証や農地転用許可書の写し等を添えて、都市計画部門に適合証明を請求します
- 交付された60条証明書を建築確認申請書に添えて指定確認検査機関等へ提出し、確認済証が下りた段階で建築工事に着手できます
3. 実務で準備が必要になりやすい書類
農地転用と開発許可の同時並行実務において、準備に時間がかかりやすい書類群を紹介します。個別の必要書類は案件・自治体ごとに異なるため、以下は代表的な例です。
資金の確実性を示す書類
計画倒れによる造成地の放置を防ぐため、確実な資力があるかが審査で確認されます。
- 造成会社・ハウスメーカー等から取得した見積書
- 自己資金の場合は預金残高証明書、住宅ローンの場合は融資に関する証明書等
地元関係者との協議書・同意書
雨水の放流や工事車両の通行にあたり、水利組合・道路管理者・土地改良区等と事前に協議を了したことを示す書類の添付が求められます。この協議が整っていないと、審査が進まないケースが多く見られます。
土地の保有変遷・親族関係を示す書類
新築予定地が親族名義のままである場合や、提案基準1のように親族関係が要件となる基準を利用する場合は、以下のような書類が必要になります。
- 名義人から申請者への譲渡・贈与に関する確約書
- 親族関係や土地の相続関係を立証する戸籍謄本・除籍謄本等
必要書類は個別の案件・自治体の運用によって異なります
本記事で紹介した書類はあくまで代表的な例です。実際に必要となる書類・様式は、大津市農業委員会および都市計画部開発調整課への事前相談で個別に確認する必要があります。
4. 専門家に依頼するメリット
農地転用と開発許可の同時申請は、単純な書類作成にとどまりません。大津市の都市計画部門、農業委員会、土地改良区、地元の水利組合や近隣住民など、複数の関係者との間で矛盾なく合意を形成していく調整作業が伴います。
- 片方の窓口では問題なくても、もう一方の窓口の基準(接道条件や排水計画など)に抵触し、計画の練り直しが必要になる事態を避けやすくなります
- 排水経路の設計や造成図面の作成など、専門知識が求められる部分を、提携する設計士・土地家屋調査士等と連携しながら進められます
- 手続き全体のスケジュールを見通したうえで、着工までの見通しを立てやすくなります
農地転用と開発許可を同時に進める手続きは、関係する法律・窓口が多く、案件ごとに必要書類や進め方が異なります。構想の初期段階からご相談いただくことで、無駄な手戻りを避けやすくなります。
市街化区域担当:077-528-2773/市街化調整区域担当:077-528-2876
まとめ
大津市で農地に家を建てるには、農地転用許可と開発許可という2つの手続きを、実務上は足並みを揃えて進めていくことが原則です。農振除外の要否確認から始まり、大津市の開発条例に基づく事前協議・事前周知、水利関係者との調整、そして同時本申請、造成工事の完了検査、60条証明の取得を経て、ようやく建築確認申請に進むことができます。関係する法律・窓口が多く、案件ごとに必要な書類や進め方が異なるため、早い段階から専門家に相談することをおすすめします。
本記事について
本記事は執筆時点(2026年8月)の一般的な制度・運用に基づき作成しています。個別の案件における必要書類や進め方は、大津市農業委員会・都市計画部開発調整課への確認、または専門家への相談を行ってください。

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