【滋賀県版・完全ガイド】建設業許可とは?500万円基準・29業種・5つの要件まで行政書士が徹底解説

こんなお悩みありませんか
  • 「元請から建設業許可を取るように言われた」が、何から始めるべきかわからない
  • 「500万円未満なら許可は不要」と聞いたが、本当にそうなのか不安
  • 自分の工事が29業種のどれに当たるのか判断できない
  • 知事許可と大臣許可、一般と特定の違いが混乱する
  • 許可を取り忘れて、後で取引停止などの困った事態になりたくない
500万円
許可が必要になる
工事金額の基準
29業種
許可の対象となる
工事の種類
5
許可の有効期間
(更新が必要)

結論:500万円以上の工事を請け負うなら許可が必要

まず一番大事な結論からお伝えします。

この記事の結論
1件の工事代金が500万円以上になったら、建設業許可が必要です。
これだけ覚えておけば、この記事の8割は理解できます。建築一式工事(家を一棟まるごと建てる工事)だけは基準が1,500万円になります。

許可を持たずに500万円以上の工事を受注するのは法律違反です。「知らなかった」では済まされないため、まずこの基準を頭に入れておきましょう。


そもそも建設業許可制度とは何か

建設業許可とは、「この会社はちゃんと工事ができますよ」と国や都道府県が認めた証明書のようなものです。

家を建てたり、道路を作ったり、電気や水道を引いたりする工事は、失敗すると人の命に関わることもあります。そのため、国は「一定の技術・お金・経験がある会社だけに工事を任せよう」という仕組みを作りました。それが建設業許可制度です(建設業法第3条)。

許可は「国からのお墨付き」

許可制度があることによって、「この業者は適正な施工ができる技術力と資金力を持っている」という国からのお墨付きが与えられることになります。近年は元請企業のコンプライアンス意識が高まり、許可の有無が取引可否を分けるケースも増えています。

注意
「自分は下請けだから関係ない」と思っている方もいますが、元請け・下請けを問わず、請け負いで工事をするなら許可が必要です。個人事業主(一人親方)も同じです。

用語の正しい意味と使い分け

建設業法では、関係者の立ち位置を明確にするために様々な用語が定義されています。ここを理解すると、ご自身がどの立場にいるのかがグッと分かりやすくなります。

「建設業」と「建設業者」の違い

似たような言葉ですが、法律上は明確な違いがあります。一文字違うだけで意味がまったく変わるので注意しましょう。

建設業

元請・下請その他いかなる名義かを問わず、建設工事の完成を請け負う営業のこと。(許可の有無は関係なし)

建設業者

法律に基づく「建設業の許可」を受けて建設業を営む者のこと。(=許可業者)

ここがポイント

許可を受けずに小さな工事のみを行っている事業者は、法律上は「建設業者」とは呼ばれず、「建設業を営む者(無許可業者)」として厳密に区別されます。

「発注者」「元請」「下請」の立ち位置を図で理解

工事の流れにおける立ち位置を表す用語です。実際の工事の流れに沿って見ると、関係がスッキリ整理できます。

― 工事が流れていく順番と立場 ―

発注者 建設工事の最初の注文者(施主など)
▼ 工事を発注
元請負人
(元請け)
発注者から直接請け負い、下請に工事を出す許可業者
▼ 一部を下請に発注
下請負人
(下請け)
元請や上位の下請から工事を請け負う者
  • 発注者:建設工事の最初の注文者(施主など)。他の業者から請け負った工事をさらに下請に出す場合の注文者は、法律上の「発注者」には含まれません。
  • 受注者(請負人):工事の完成を約束し、注文者から仕事を引き受ける者。
  • 元請負人:下請業者に工事を発注する注文者であって、建設業者(許可業者)である者。
  • 下請負人:下請契約において、元請負人やさらに上位の下請負人から工事を請け負う者。

許可が不要な「軽微な建設工事」と500万円計算の落とし穴

すべての工事に許可が必要なわけではありません。小さな工事なら許可なしで受けられます。これを「軽微な工事」と呼びます。

許可が必要になる金額の基準

工事の種類 許可が必要になる基準 備考
一般の工事
(塗装・電気・内装等)
500万円以上 消費税込み・材料費含む
建築一式工事
(家・ビルを一棟建てる)
1,500万円以上 または延べ面積150㎡以上の木造住宅

要注意!「500万円未満」の計算における2つの落とし穴

「500万円未満なら無許可でOK」というルールには、よく勘違いされる厳しい条件があります。知らないうちに無許可営業(法律違反)にならないよう注意が必要です。

落とし穴① 材料費も含めて計算する
注文者(元請や施主)が材料を提供する場合(いわゆる「手間請け」)、提供された材料の市場価格と運送費を請負代金に足して「500万円未満か」を計算しなければなりません。手間賃だけで判断してはいけません。
落とし穴② 契約を分割しても合算される
1つの工事を2つ以上の契約に分割して請け負った場合、正当な理由がない限り、すべての契約の合計額で判断されます。「契約書を2枚に分ければ500万円未満になる」という理屈は通用しません。
解体工事だけは別の注意点
500万円未満でも「解体工事業の登録」が別途必要な場合があります(土木・建築・解体工事業の許可を持っている場合を除く)。

許可は29業種ごとに取る(全業種一覧)

建設業許可には「どんな工事でもOKになる万能な許可」は存在しません。工事の種類(業種)ごとに、別々の許可を取る必要があります。

たとえば、塗装工事の許可を持っている会社が、電気工事も受注しようとする場合は、電気工事の許可を別に取らなければなりません。業種は全部で29種類あります。

2つの「一式工事」

一式工事とは、工事全体をまとめて管理する元請け向けの業種です。

業種名こんな工事のこと
土木工事業(土木一式工事) 橋や道路、ダムなどを一式で請け負う工事
建築工事業(建築一式工事) 家やビルを一棟まるごと建てる工事
「一式があれば何でもできる」は誤解です
一式工事の許可を持っていても、電気工事・塗装工事などを単独で請け負う場合は、その専門工事の許可がさらに必要です。

27の「専門工事」一覧

業種名どんな工事?
大工工事業木材を使った柱・梁の組み立て、造作工事など
左官工事業壁にモルタルや漆喰を塗る工事
とび・土工工事業足場の設置、穴掘り、コンクリート打設、外構工事など
石工事業石を積んだり貼ったりする工事
屋根工事業瓦や金属板で屋根を葺く工事
電気工事業照明・コンセント・発電設備などの電気まわりの工事
管工事業冷暖房・給排水・ガス管などの配管工事
タイル・れんが・ブロック工事業タイル張り、れんが積み、サイディング工事など
鋼構造物工事業鉄骨の組み立て、鉄塔・橋梁の製作・設置
鉄筋工事業建物の骨格となる鉄筋を加工・組み立てる工事
舗装工事業アスファルトやコンクリートで道路を舗装する工事
しゅんせつ工事業川や港の底の土砂を取り除く工事
板金工事業金属の薄板を加工して取り付ける工事
ガラス工事業ガラスを加工して取り付ける工事
塗装工事業建物や構造物に塗料を塗る工事
防水工事業雨漏りを防ぐための防水処理工事
内装仕上工事業壁紙・床材・天井の仕上げ、家具の取り付けなど
機械器具設置工事業工場のプラント設備、立体駐車場などの設置工事
熱絶縁工事業冷暖房設備などに断熱材を巻く工事
電気通信工事業通信ケーブルやデータ通信設備の設置工事
造園工事業庭園・公園の植栽や緑化工事
さく井工事業井戸掘り、温泉掘削などの工事
建具工事業サッシ・シャッター・自動ドアの取り付け工事
水道施設工事業浄水場・配水管など水道インフラの工事
消防施設工事業スプリンクラー・消火栓・火災報知器の設置工事
清掃施設工事業ごみ処理施設・し尿処理施設の建設工事
解体工事業建物や構造物を取り壊す工事

「自分の工事はどれ?」と迷ったときは、お気軽にご相談ください。

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許可の4つの区分(知事/大臣・一般/特定)

許可には「誰が許可を出すか」と「どの規模まで対応するか」の2つの分け方があります。

① 滋賀県知事許可 か 国土交通大臣許可 か

これは営業所がどこにあるかで決まります。

滋賀県知事許可
営業所の場所で決まる

営業所が滋賀県内だけにある場合に取得する許可です。

国土交通大臣許可
複数都道府県に営業所がある

滋賀県内+他の都道府県にも営業所がある場合に取得する許可です。

「知事許可でも県外の工事を受けられます」

滋賀県知事許可でも、他の都道府県で工事を受注することは問題ありません。許可の種類は「営業所の場所」で決まるだけで、工事をする場所に制限はありません。

なお「営業所」とは、実際に契約や見積もりをしている事務所のことです。資材置き場や工事現場の仮設事務所は含まれません。

② 一般建設業 か 特定建設業 か

これは下請けに出す金額の大きさで決まります。ほとんどの中小建設業者は「一般建設業」に該当します。

区分下請発注の合計金額備考
一般建設業 5,000万円未満 中小事業者の大多数はこちら
特定建設業 5,000万円以上 建築一式工事は8,000万円が基準
令和7年2月1日からの法改正
特定建設業の基準が「4,500万円以上→5,000万円以上」に引き上げられました。契約日によって適用される基準が変わるので注意が必要です。

許可の有効期間は5年。更新を忘れずに

01
許可取得
要件を満たして申請し、許可を取得します。
02
5年間有効
許可取得日から5年間、許可が有効です。毎年度の決算変更届の提出も忘れずに。
03
満了30日前までに更新申請
有効期間満了の30日前までに更新手続きが必要です。忘れると許可が失効します。
04
さらに5年間有効
更新が完了すれば、新たに5年間許可が有効になります。
更新を忘れると許可が失効します!
期限切れ後は無許可状態になり、500万円以上の工事が受注できなくなります。毎年の決算変更届の提出と合わせて、スケジュール管理が大切です。

許可を取るために必要な5つの条件

建設業許可を取るには、次の5つの条件をすべてクリアする必要があります。

会社を仕切れる経験がある人がいる
役員または事業主の中に、建設業の経営を5年以上経験した人がいること(経営業務の管理責任者)
社会保険に入っている
健康保険・厚生年金・雇用保険など、法律で定められた保険にきちんと加入していること
工事の専門家(技術者)がいる
営業所ごとに、その工事の専門資格や経験を持つ技術者を専任で置くこと(営業所専任技術者)
きちんとした会社である
過去に建設業法などの法律違反がないなど、誠実に営業していること
お金の体力がある
銀行口座に500万円以上の預金がある、または自己資本(純資産)が500万円以上あること

無許可で工事をするとどうなる?罰則とリスク

許可を持たずに500万円以上の工事を請け負うと、建設業法違反になります。

また、許可を持っている会社であっても、無許可の業者に500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の下請けを発注した場合も処分の対象になります(建設業法第28条)。「下請けに出すだけだから関係ない」とは言えないのです。

罰則の目安
無許可営業や届出を怠った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)となることがあります。また、5年間にわたって新規の許可申請ができなくなる「欠格事由」にも該当します。

私は建設業許可を取るべき?判断チェックリスト

ここまでを踏まえ、ご自身が今すぐ許可を取るべきかどうかの判断チェックリストです。

セルフチェック

以下のいずれか1つでも当てはまる場合は、建設業許可の取得を強くお勧めします。

  • 1件500万円(税込)以上の工事を請け負う可能性がある(※建築一式工事を除く)
  • 手間賃は500万円未満だが、施主や元請から支給される材料費を含めると500万円を超える工事がある
  • 元請企業や取引先から「許可を取ってほしい」と言われている
  • 今後、公共工事の入札に参加して事業を大きくしていきたい
  • 滋賀県外(京都・大阪など)からの工事依頼を受けることがある
専門家からのアドバイス

近年、コンプライアンス(法令遵守)を重視する大手ゼネコンや元請企業が増加しており、「500万円未満の工事であっても、許可業者にしか仕事を発注しない」というケースが急増しています。今は不要でも、早めの取得が将来の受注を守ります。


まとめ:建設業許可の基本をおさらい

まとめ
500万円以上の工事を請け負うなら、工事の種類に合った建設業許可を取りましょう
この記事の重要ポイント
  • 500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事には許可が必要
  • 元請け・下請けを問わず、個人でも法人でも同じルール
  • 材料費込み・分割契約は合算で判断(手間賃だけで判断しない)
  • 許可は29業種ごとに個別に必要
  • 滋賀県内のみの営業所なら「滋賀県知事許可」でOK(県外工事も受注可能)
  • 元請として大型下請発注をする場合は「特定建設業」が必要(5,000万円以上が基準)
  • 許可の有効期間は5年。満了30日前までに更新手続きを
  • 無許可営業は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、5年の欠格期間も

許可証は「国や県が認めた確かな業者である」という信頼の証(ステータス)になります。今は500万円未満の工事しか受けていなくても、今後の安定した受注や事業拡大を見据えるのであれば、許可の取得は必須と言えるでしょう。

「自分は要件を満たしているのか?」「何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひ一度、建設業許可を専門とする当事務所へご相談ください。

この記事は滋賀県土木交通部監理課「建設業法のあらましと建設業許可申請マニュアル」および建設業法・関連法令に基づき作成しています。内容は執筆時点の情報です。最新情報は滋賀県監理課(077-528-4114)または専門家にご確認ください。

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